※ 本記事は2016年8月の記事をリライトしました。
生まれて初めての手術。術前はお気楽に構えていたのですが、術後にとんでもない苦痛が待っていました。そして入院した数日間で、看護師という仕事の大変さを改めて感じることになったのです。
全身麻酔初体験の巻 その2
いよいよ手術——手術室に歩いて入る日
手術の日の朝、ベッドの上で息子と背中合わせに本を読んでいたら、看護師さんに「あら♪ 仲良しさんですね」と言われました。変に照れた彼の横顔が、今でも愛おしく思い出されます。
手術室には、歩いて行くんです。テレビドラマでは、ベッドごと運ばれるシーンしか見たことがなかったので、これは意外でした。
後ろについてくる息子に、できるだけ平静な顔で「行ってきます」とジャッ♪(^^)/ と笑顔で手を振りました。
手術室の前室に入ると、看護師さんが「脇を開けてください」と笑顔で言う。なんで?と思っていると「スッ」と腕を支えるように組まれました。

「では、歩きましょうか」——足で扉のバーを踏むと、バン!と目の前に飛び込んできたのが、テレビでよく見るあのオペ用の巨大なライト。
腕を組まれた意味が、その瞬間わかりました。異空間に一瞬クラッとする人がいるからなんですね。私もほんの少し、足元がふわりとしました。
意外だったのは、手術台。冷たい銀色の鉄板を想像していたのですが、実際には真綿で包まれたような、柔らかくふんわりとしたベッドでした。しかもほんのり温かい。それだけで、ずいぶん安心したのを覚えています。
「さあ全身麻酔、手術だ。せっかくだから覚えておいて記事のネタにしなきゃ」と観察モードで構えていたのですが——。脳波測定の器具を額に貼られた瞬間「痛っ!」と言って、マスクを被せられて5〜6秒後のことは、記憶にございません。
そういえば手術前日、麻酔科の先生が病室に来てくださいました。とびっきりの笑顔で「何も心配することはありません。10秒くらいで麻酔がかかりますから、起きたら終わっていますよ(^ ^)」と。看護師さんも何度も「心配ないですよ」と声をかけてくれていました。
はい。おっしゃる通りでした。一瞬で、眠り姫になりました。
手術は、4時間半ほどかかったようです。息子は手術室の前で待っていてくれたとか。
himeteiごめんねー長い事待ってくれてたんやね~~。



僕、昼寝してたから気にせんといて~~。
アハ……いや〜。もうちょっと、なんか言いようがあるじゃろ。
まあ、ええけど。
ICUの夜——眠れない、動けない、ひたすら長い時間
私の相部屋は、足を骨折して動けない方が2名、微熱で弱っている方が1名。いずれも高齢の方で、認知症が入っているかと思われる方もいらっしゃいました。
看護師さんというのは、本当にすごい仕事だと思い知りました。夜中じゅう何度呼び出されても「どうかされましたかあ(^^)」「血圧計外したらダメですよー」「もう三時ですから寝ましょうね〜」「……いい加減に寝てね〜」「お家に携帯はつながらないから寝てね〜」と、最後まで穏やかに声をかけ続けていらっしゃる。仕事とはいえ、あの忍耐力には心から感心しました。
私の住まいはプチ田舎で、夜は驚くほど静かな環境です。夜中じゅう誰かが喋り続けているというのは、想像以上のストレスでした。
術後12時間——水も飲めず、睡眠薬も飲めず
手術が終わってICUに入ったのは18時ごろ。術後12時間は水分を取ってはいけないので、睡眠薬も飲めません。
隣の婆様は軽い認知症で、「水が欲しい……睡眠薬が欲しい……家族を呼んで」と、誇張なく15〜30分ごとに連呼。おとなしくなったと思ったら、地響きのようなイビキが始まる。
「ゴゴゴ!ぷ〜。ゴゴゴゴ!ぷう〜」
地響きが収まったかと思えば、今度は家族の名前の連呼。
(この……ク……クソ……糞ババア)
「我慢の限界」と「でも相手は病人」の間で、葛藤が行ったり来たりしていました。
騒音はそれだけではありません。心電図の機械音、血圧計のポンプが定期的に膨らんでは「プシュー」と解放される音。血栓予防で足に巻かれたポンプも「プシュー」。部屋中が「プシュー」「プシュー」「プシュー」。
さらに、強い腰痛まで出てきた。寝返りができない。「いててて……いててて……」と声にならない声を上げながら、とても長い夜を過ごしました。(^-^;
翌朝、病棟に戻っても安眠できなかった話
ようやく朝を迎え、ヨタヨタと普通病棟へ。(ここでやっと少し眠れるか……)と思ったら、隣のベッドのお見舞いの方の大きな声が飛び込んできました。
「どう?」「はあ、元気やで!」「夜は寝れる?」「よー寝れるでえ」
ついに玉砕。


声というのは、破壊力を持っています。弱っている体には、静寂がどれほどありがたいか——これは経験しないと分からない辛さです。
【追記】現在、我が家でも認知の進んだ義母の大きな声に「もうダメだー」状態。誰か助けて〜。
入院するなら個室がおすすめ——大部屋を選んだ後悔
保険に入院特約が付いているなら、迷わず個室をおすすめします。眠れないほど辛いことは、そうそうありません。術後の回復にも、睡眠は絶対に必要です。入院前にぜひ保険証書を確認しておいてください。
初入院から得た5つの教訓
身をもって学んだことを、まとめておきます。
① お見舞いは静かに。病院は元気な人がいる場所ではありません。声のボリュームには気をつけて。
② 病室は、可能であれば個室一択。後悔したくなければ、多少お金をかけても個室へ。
③ 同室の方が高齢者の場合、夜中に何かしら起きると思って心構えを。
④ 体温調節できるよう、薄手の羽織るものを一枚多めに持っていくと便利。
⑤ 時間はたっぷりあるので、ふだん積んだままの本を持っていくと良い時間の使い方ができます。
唯一の朗報
一つだけ、良いことがありました。あんなに気も使いお金も使っても落ちなかった体重が、退院して計ってみると3キロ減っていたのです。
手術ダイエット。効果てきめんです(笑)。


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